入門講座

パフォーマンスレベルの評価手順

パフォーマンスレベルの評価手順
図1)プレゼンテーションに関するルーブリック

参考)ダネル,スティーブンス・アントニア,レビ著,佐藤浩章,井上敏憲,俣野秀典訳『大学教員のためのルーブリック評価入門』, 玉川大学出版部, 2014, p11をもとに作成

3つのパフォーマンスステータス(PS)の適応と治療方針の決定の仕方 | ナースのヒント

パフォーマンスステータス(通称Performance Status:PS)とは、全身状態の指標の一つで、がんの治療方針の決定、治療効果の判定などではパフォーマンス・ステータスの評価は必須となっています。パフォーマンス・ステータスには3種類あり、WHO PS 、ECOG PS 、KPSが代表的です。パフォーマンスステータスは、病気による局所症状で活動性が制限されている場合に用いることで、臨床的に判断する有効な手段です。

2、PSの種類と評価

■ECOG PS: Eastern Cooperative Oncology Group Performance Status

スコア 患者の状態
0 まったく症状なく社会的活動ができ、発病前と同じように日常生活ができる
1 激しい運動や肉体労働の制限をうけるが、歩行、軽い労働、座っての作業はできる
2 歩行ができ、身の回りのことはすべてできる。ただ時々少しの介助が必要なこともある。軽い作業はできないが、日中の50%以上はベッド外で過ごす
3 限られた身のまわりのことしかできない。しばしば介助が必要で、日中の50%以上はベッド外で過ごす
4 身の回りのこともできず、全く動けない。常に介助が必要で、終日ベッドにいる

■KPS : Karnofsky Performance Status

パフォーマンスレベルの評価手順
スコア 患者の状態
正常な活動ができる。特別な看護が必要ない。 100 疾患に対する患者の訴えがない。臨床症状なし。
90 臨床症状は軽くあるが、正常活動可能
80 臨床症状がかなりあるが、努力すれば正常の活動が可能である
労働することは不可能。自宅で生活を営むことができ、看護はほぼ個人的な要求によるものである。いろんな程度の介助を必要とする。 70 自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働することは不可能
60 自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要
50 病状を考慮した看護および定期的な医療行為が必要
自分で身の回りのことができない。施設や病院の看護と同じような看護を必要とする。疾患が急速に進んでいる可能性がある。 40 動けず、適切な医療および看護が必要
30 全く動けず、入院が必要だが死は差し迫っていない
20 非常に重症、入院が必要で精力的な治療が必要
10 死期がせまっている
0 死亡

KPSは、予後を予測するために、PaPスコア(Palliative Prognosis Score)、食欲不振や呼吸困難感、WBC、リンパ球の割合とあわせて用いられることがあります。

■WHO PS : World Health Organization Performance Status

パフォーマンスレベルの評価手順 パフォーマンスレベルの評価手順
スコア 患者の状態
0 問題なく活動できる。発病前と同じ日常生活が制限無く行える。
1 肉体的に激しい活動は制限されるが、歩行ができ、軽い作業や座っての作業を行うことができる。たとえば、軽い家事、事務など
2 歩行はでき、身の回りのことはすべて可能だが、作業はできない。日中の50%以上はベッド外で過ごす。
3 身の回りの限られたことしかできない。日中の50%以上をベッドか椅子で過ごす。
4 全く動けない。自分の身の回りのことは全くできない。完全に椅子またはベッドで過ごす。
5 死亡

ECOG PS、WHO PSはスコアが0から5に進むにつれ、状態が重くなるのに対して、KPSではスコアが0から100に細分化されているのがわかります。近年ではECOGPSが多く用いられていますが、脳外科の部門ではKPSが使われています。ECOG PSは,判断する者の主観が大きく影響する基準でもあるため,同一患者を異なる医療者で診断するとPSが変化する可能性が少なからずあると考えられます。

3、PSの適応とリスク

パフォーマンスステータス(PS)は全身状態を評価し、脳外科や化学療法で用いられる指標だとお話ししましたが、指標と治療方針を照らし合わせてどのように治療方針を変更していくのでしょうか。化学療法を参考に見ていきましょう。抗がん剤治療はどんな患者さんにも行っていいものではありません。というのも、抗がん剤治療は、がん細胞を攻撃するのと同時に、正常な細胞も攻撃してしまうという側面を持っているため、患者さんの状態が良くないと、有害事象を引き起こしてしまうこともあるからです。固形癌の抗がん剤治療では、ECOG-PSのスコア 3以上は有害事象が高度となるリスクが上昇し、治療による効果をリスクが上回ることがあるため、一概には推薦されません。一般的な化学療法の適応はECOG-PS スコア0または1であり、2以上の場合は癌の症例ごとに治療法の検討を要します。しかし例外もあり、たとえば卵巣がんや胚細胞腫瘍など、化学療法が極めて効果的な固形がんや血液腫瘍など、良い治療効果が見込まれる分子標的薬治療などでは、リスクよりも治療による全身状態の改善が見込まれる場合、ECOG-PSがたとえ不良でも化学療法を積極的に行うこともあります。

「疑う力・考える力・生き抜く力」を育てる社会科授業を提案するサイトです。

1 パフォーマンス評価で「熟練度」を測定する
(1) 「主体的で対話的な深い学び」を評価する方法
「主体的で対話的な深い学び」が求められています。ところが、この学びをどのようにすれば測定し評価できるのでしょうか。反対に言えば、学んだ成果を測定・評価できなければ、実施した授業方法の効果を検証ができません。
ところで、学んだ成果は「作品」に現れます。特に、授業を受けた後の「作品」には学習者の学習成果を測定するための多くの情報が示されています。ですから、学習後に学んだことを活用して「作品」を製作させることで測定・評価の資料を得ることができます。
そして、「作品」から、子どもたちが何をどのように学んだのか、その学びは主体的な学びなのか、他者の見解や情報と対話的に学んだのか、どのような深さや熟練度を持つ学びなのかを測定できる評価方法が必要になってきます。これは、従来型の「知識量」を測定するだけでは不可能です。知識と知識を有機的に関連付けることができているのかどうかを判定する必要があるからです。それらの学びの測定・評価を可能にする評価法が パフォーマンス評価 です。
管理人は「主体的で対話的な深い学び」を評価する方法として、定期試験に「課題作文」を出題することを提案しています。具体化する手法が、パフォーマンス課題を活用したパフォーマンス評価です。

(2) パフォーマンス評価とは
① パフォーマンス評価の意味
パフォーマンス評価とは、「子どものパフォーマンスやパフォーマンスの事例を、設定されたパフォーマンスの基準に基づいて、直接かつ体系的に観察し評価する」評価方法です *1 。
パフォーマンス評価は、「パフォーマンス課題」と「ルーブリックによる評価」で構成されます。
② パフォーマンス評価の特徴
従来のテスト法では、日常生活からかけ離れた「テスト用の問題」が作成されることが多く見られました。そのため、テストで好成績を獲得しても、授業で獲得した「知識」が活用できるかどうかは不明でした。しかも、従来のテスト法では往々にして、「知識量」を測定することはできても、学んだことの「深さ」や「熟練度」を測定することは困難でした。そこで、「子どもたちが学んだ知識を実際の世界でどの程度うまく活用できるのかをはかる」ために開発されてきたのがパフォーマンス評価です。
パフォーマンス評価は、リアルな文脈(真正性)で設定された「パフォーマンス課題」に基づいて、子どもたちの学びの「熟練度」を測定します *2 。そのため、具体的な場面で評価を行うパフォーマンス評価は、子どもたちが獲得した「知識・技能、思考力・判断力・表現力」の評価方法として妥当性が高くなります。そして、評価結果の信頼性を保証するために、評価基準を一覧にしたルーブリックが作成され、子どもたちや保護者にも評価基準が公開されます。
③ パフォーマンス課題の意味
パフォーマンス課題とは、リアルな文脈(あるいはシミュレーションの文脈)において、知識やスキルを総合して使いこなすことを求める課題のことです *3 。
a) 知識・技能が実生活で生かされる場面や、
b) その領域の専門家が知を探究する過程を追体験させる学習課題。
④ パフォーマンス課題に求められる「リアルな文脈」(真正な文脈)の例
a) 市民、労働者や生活者の実用的な文脈。
b) 科学的な法則を発見したり歴史上の真理を追究したりする課題のように、知的な発見や創造の面白さにふれる学者や専門家の学問的文脈 *4 。

(3) パフォーマンス課題に盛り込む要素 *5
① 目的 : パフォーマンスの目的は何か?
a) あなたの課題は、 です。
b) ゴールは、 することです。
c) 問題や難題は、 です。
d) 克服すべき障害は、 です。
② 役割 : あなたは○○の□□です。 パフォーマンスレベルの評価手順
a) あなたは、 です。
b) あなたは、 するように頼まれました。
c) あなたの仕事は、 です。
③ 聴衆 : あなたの聴衆は(話し相手は)△△です(「名宛て人(なあてにん)」を明確に)。
a) あなたの依頼人は、 です。
b) 対象となる相手は、 です。
c) あなたは、 を納得させる必要があります。
④ 状況 : 解決が求められている状況についての説明。
a) あなたがいる文脈は、 です。
b) この挑戦は、 と取り組むことに関わっています。
c) 管理人の経験からは、子どもの感性を揺さぶる「価値対立のある状況」が効果的です。
⑤ 完成作品、実演と意図 : 取り組みの結果・回答。
a) あなたは、 するために、 を創作します。
b) あなたは、 となるように、 を開発しなくてはなりません。
⑥ 評価規準 : 作品などが満たさなければならない規準(条件)。
a) あなたの実演は、 である必要があります。
b) あなたの作業は、 によって判断されます。
c) あなたの完成作品は、次のスタンダードを満たしていなくてはなりません。 。

※ 管理人の作成した パフォーマンス課題の実践例 を紹介しています。ここをクリックするとそのページに移動します。

2 ルーブリックを開発する手順
(1) ルーブリックの意味
ルーブリック (rubric)とは、自由記述問題やパフォーマンス評価において用いられる評価指標(採点指針)のことです(右図参照)。この点について、西岡加名恵先生は「自由記述問題やパフォーマンス評価においては、成功の度合いに幅があるため、○か×かで評価することが不可能」です。「そこで用いられる評価指標(採点指針)」が必要」になると説明しています *6 。その評価指標を一覧に整理したものがルーブリックです。
「ルーブリックは、成功の度合いを示す数段階程度の尺度(点数やレベル)と、それぞれの点数やレベルで期待されるパフォーマンスの質を規定する基準(criteria)を説明する記述語で構成され」ます。

(2) ルーブリックの種類
ルーブリックの種類は、2つに大別することができます。
1つ目は、「全体的なルーブリック」です。これはパフォーマンス全体をひとまとまりのものとして採点する方法です。
2つ目は、「観点別のルーブリック」です。この方法では、1つのパフォーマンスを複数の観点から評価することが出来るのでより視野角を広く取って「学び」を捉えることが可能になります。
「全体的なルーブリックは、学習過程の最後の総括的評価の段階で全体的な判断を下す際に有効」です。他方、「観点別のルーブリックは、パフォーマンスの質を向上させるポイントを明示するものであり、学習過程での形成的評価に役立てやすい」 *7 ものです。管理人はこの「観点別のルーブリック」を基本にして、「簡易型ルーブリック」の作成・実践を提案しています。

(3) ルーブリックの作成手順
① 質(熟練度)の転換点を探す パフォーマンスレベルの評価手順
「知識・理解」や「技能」の熟練度を成長段階的に記述するには、どのような行為(表現)が見られたときに、子どもの認識や行為の質的な転換が起きているのかを決めておかなければなりません。これを行うためには、教員の教科内容に対する深い理解と、子ども行動の変化を習熟しておくことが必要になります。そこで、複数の教員の共同作業で、子どもたちの作品を一定の観点で評価して、共通項を探り出す方法が実施されることが行われています。
② 「基準」作りを複数の教員の協同作業で行える場合
一般的に、「認識や行為の質的な転換点を決定してルーブリックを作成する作業」は、「①試行としての課題を実行し多数の子どもの作品を集める。②あらかじめ数個の観点を用いて作品を採点することを採点者間で同意しておく。③それぞれの観点について1つの作品を少なくとも3人が読み6点満点で採点する。④次の採点者にわからぬよう付箋に点数を記して作品の裏に貼り付ける。⑤全部の作品を検討し終わった後で全員が同じ点数をつけたものを選び出す。⑥その作品を吟味しそれぞれの点数に見られる特徴を記述する」手順が取られています *8 。
そのようにして、1~6点までの階層に分けられ⑤で選び出された、⑥のように特徴を記述した「作品」をアンカーと言い、それぞれの得点の「具体的な代表例」として、他の作品を評価する際の基準になるという手順が取られます。 パフォーマンスレベルの評価手順
③ 「基準」作りを一人の教員で行う場合
しかし、一人の教員で行う場合は、この手順を取ることができません。そこで、管理人が単独で実施している手順を示すと、次のようになります。最初に①求めるパフォーマンス(学習内容の表現)を構成する要素を抜き出し、②それぞれの要素の重要性を吟味して、概念の中心部分を形成している要素と、その周辺に位置する要素を区分して、③「仮の判定基準」を定める。④「仮の判定基準」を使って5段階の「仮のルーブリック」を作成する。⑤試験の実施後、評価(採点)する前に、20人程度の作品を見て、「仮のルーブリック」を微調整し、「ルーブリック」を作成する。⑥しかし、採点を進めていくと、判定しきれない「作品」に出会うことがある。その場合には、再度「ルーブリック」の判定基準を見直し修正する。⑦修正した「ルーブリック」を使って、既に採点を済ませた「作品」の評価を再度し直すという手順で、「公平性」を保証する。⑧子どもたちに「ルーブリック」を開示し、「代表作品」を紹介することで、評価(採点)の客観性と公平性を子どもたちに点検してもらう機会を準備する。と同時に、評価に子どもたちが参加する機会も確保する(複数の「代表作品」を社会科通信で公開)、という一連の流れになります。

3 簡易型ルーブリックの開発
(1) 簡易型ルーブリックで「作文」を評価する
① 簡易型ルーブリックの開発
一般的な「ルーブリック」は、各階層の特徴を一括した「評価基準」を記述する方法が取られています。そのため、実際に「作品」を評価する際に、どの階層に該当するのか判定に戸惑うことが多々生じます。管理人もかつては、右のような汎用性のある「課題作文を評価するためのルーブリック」で答案を評価したこともあります。しかし、このような1つのレベルの判定基準の内容を網羅的に書き込んで使用する場合には、子どもたちからすると何が出来たのか、出来なかったのかが分かりにくい欠点が目立ちました。しかも、1つのレベルの評価項目を完成するには、一人の教員で実践するにはハードルが高すぎると思われます。
そこで、管理人は独自の「簡易型ルーブリック」 *9 の作成方法を開発し、「課題作文」の評価を実践してきました。その概略を次に説明します。
まず、初めに考慮したことは、子どもたちにとって分かりやすい評価指標の実現です。評価が子どもたちの学びを支援するために行う教育的作業であるから当然のことです。さらに、評価の妥当性を高めつつ、同時に評価結果の安定性(信頼性)を高める方略であることが必要です。それは、「論点の指摘と考え方を記述すること」を評価項目にすることで実現できます。具体的には、論点を単位として、箇条書きにした「評価基準」を作成することで実現できます。それが「簡易型ルーブリック」による評価方法です。
② 簡易型ルーブリックの開発根拠
客観テストの「練習のための問題」は、唯一の正解が出るように設計されます。しかし、「現実社会を模写」した「真正の問題」には、正解が複数存在したり、正解が不明な場合すらあり得ます。そのため、「真正の問題」の評価では、正解数を数えるのではなく、「考えたことの証拠の量の観点から行われるべきです。彼/彼女が大人が考えるような考え方で考えたかどうか、ないし大人の『正しい』答えに一致して考えたかどうかが問題ではない」 *10 のです。ここで言う「考えたことの証拠の量」は、学習者が獲得した概念やスキルを活用して、「論点を指摘」し、その論点に対する学習者の「考え方が記述」されていることを数えれば測定できます。つまり、論点の指摘」と「考え方の記述」を一対(いっつい)として、評価項目にすることで、「考えたことの証拠の量」の測定が可能になります。なぜなら、現実社会では問題から論点を抽出することが問題解決の端緒であり、その論点の解決策を模索する過程が「考え・判断する」ことだからです。それは、「社会科的思考の基本モデル」とも通底していて、作文評価の妥当性をより高めることにもなります。
「論点の指摘」を軸に考えると、評価指標を論点単位に独立させ、評価項目を論点内容に即して記述することが可能になり、学習者にも理解しやすい「評価基準」を実現できるようになります。同時に、評価項目を丁寧に記述した「評価基準」は判定を容易にし、評価結果の安定性を担保します。かくして、「簡易型ルーブリックによる評価方法」は、 妥当性信頼性 を両立させて、作文評価の客観性を担保することを可能にします。

(2) 「作文評価での一般的なルーブリック」
「簡易型ルーブリック」は、2段階の「ルーブリック」を使用して作文を評価します。第1段階は、作文一般を評価する際に共通する評価基準として「一般的なルーブリック」の「知識事項の説明と関係性の説明の評価基準」を使用します。これは、「作文」を評価する際に共通して使用する評価基準です。

次に、第2段階の「ルーブリック」として、「課題作文」に固有の評価基準を「簡易型ルーブリック」に整理して「作文(答案)」を評価します。

【参考文献】
*1 ダイアン・ハート著 田中耕治監訳『パフォーマンス評価入門』ミネルヴァ書房 2012年 p.148。
*2 田中耕治「パフォーマンス評価とは何か」田中耕治編著『パフォーマンス評価 -思考力・判断力・表現力を育む授業づくり』ぎょうせい 2011年 p.14。
*3 前掲、田中耕治編著『パフォーマンス評価 -思考力・判断力・表現力を育む授業づくり』p.22及びp.210。
*4 石井英真「パフォーマンス評価をどう実践するか」前掲、田中耕治編著『パフォーマンス評価 -思考力・判断力・表現力を育む授業づくり』p.23-p24。
*5 G・ウィギンズ/J・マクタイ著 西岡加名恵訳『理解をもたらすカリキュラム設計 -「逆向き設計」の理論と方法』日本標準 2012年 p.191。
*6 西岡加名恵「総合と教科でポートフォリオを活用する」宮本浩子・西岡加名恵・世羅博昭『総合と教科の確かな学力を育むポートフォリオ評価法』日本標準 2004年 p.203。
*7 前掲、石井英真「パフォーマンス評価をどう実践するか」p.27。
*8 前掲、石井英真「パフォーマンス評価をどう実践するか」pp.27-28。
*9 日本社会科教育学会『社会科教育研究』№132(2017年)で公開済み。論文名「『社会科の作文』の評価に関する実践的考察」。
*10 前掲、G.ウィギンズ/J.マクタイ著 西岡加名恵訳『理解をもたらすカリキュラム設計 -「逆向き設計」の理論と方法-』p.209。

ルーブリック評価とは 企業の人材育成に役立つ理由や導入事例を紹介

図1)プレゼンテーションに関するルーブリック

参考)ダネル,スティーブンス・アントニア,パフォーマンスレベルの評価手順 パフォーマンスレベルの評価手順 レビ著,佐藤浩章,井上敏憲,俣野秀典訳『大学教員のためのルーブリック評価入門』, 玉川大学出版部, 2014, p11をもとに作成

一番上の行に書かれている「優秀」「良」「要再学習」という言葉が、学習目標の達成度を判断するための「評価尺度」です。評価尺度は、この他に数字やA・B・Cなどのアルファベット、「目標到達」「平均的」「発展途上」などの言葉で示される場合もあります。

多くのルーブリック表では、評価尺度を3〜5段階程度に設定しています。評価尺度の表記および段階は、評価者が課題に対して適切と思われる表現にすることができます。

次に、左端の列に書かれている言葉が「評価観点」です。評価観点は、課題に対して漏れのないように設定します。学習者に対し、課題がどのような要素から成り、何が重要なのかを明確にすることが可能です。

評価尺度と評価観点が交差するマスに書かれているのが記述語とも呼ばれる「評価基準」です。評価基準では、その評価観点においてどのようなパフォーマンスが適切であるかが言葉で表現されています。

評価者は、学習者がマスのどこに位置するかで評価を行います。ルーブリック表はテスト形式では評価が困難な、レポートやプレゼンテーションなどのパフォーマンスを評価するのに適しています。

2. なぜルーブリック評価が注目されているのか

では、なぜルーブリック評価が注目されているのでしょうか。

ルーブリック評価について、元々日本の教育業界では、平成12年頃から研究が始まっていました。広く注目されるようになったのは、平成29年3月に文部科学省が告示した学習指導要領で、アクティブラーニングによる授業改善を示したことが挙げられます。

アクティブラーニングとは、講義形式の教育とは異なり、学習者が自ら参加する教育法のことです。これまで中心となってきた知識を暗記する知識伝達型の授業から、学習者が主体的かつ対話的に学びを深めることが必要だと考えられるようになったのです。

アクティブラーニングでは、学ぶことに興味・関心を持って取り組む「主体的な学び」、他者との対話を通じて学ぶ「対話的な学び」、知識を関連づけて理解する「深い学び」の三つが重要だとされています。具体的には、体験学習、調査学習やグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワークなどがあります。

しかし、こうした学習は、客観的な評価が難しいという課題がありました。そこで注目されるようになったのがルーブリックなのです。

3. ルーブリック評価導入のメリット・デメリット

アクティブラーニングの導入によって注目されるようになったルーブリックですが、どのような点が他の評価方法と異なるのでしょうか。メリットとデメリットの2つに分けて考えていきます。

3-1. ルーブリック評価のメリット

ルーブリック評価のメリットは以下の通りです。

<評価者のメリット>
・評価時間の短縮になる
・思考力、判断力、表現力などを評価することに適している
・評価者が複数でも、評価がぶれない

<学習者のメリット>
・評価者と評価基準を共有できる
・途中段階でも到達度を測ることができる
・自己評価をする力が伸びる

まずは評価者のメリットから見ていきましょう。

・評価時間の短縮になる
あらかじめ評価基準が決められているため、学習者がどの段階にいるか即時に判断することができます。また、フィードバックを行う場合にも、一人一人に評価をコメントする手間が省けるため、評価者にとっては作業時間の短縮につながります。

・思考力、判断力、表現力などを評価することに適している
レポートやプレゼンテーションなど、正解か不正解かだけで評価できない課題があります。こうした課題は学習者の思考力、判断力、表現力を統合的に求める「パフォーマンス課題」とも呼ばれています。ルーブリック評価は学習者のパフォーマンスを評価するのに適しています。

・評価者が複数でも、評価がぶれない
社員の人数が多い企業で研修を実施する場合、研修を複数の講師が受け持つこともあるでしょう。このようなときに講師によって学習者の評価が異なることはあり得ます。あらかじめルーブリック表を作成しておけば、こうした評価のぶれを最小限にすることができます。

次に、学習者のメリットは以下の通りです。

・評価者と評価基準を共有できる
これまでは、評価者だけが評価基準を知っているという状況も多くありました。そのため、学習者は、何を目指して学習すればよいのかがわかりにくく、基準が不明瞭であっても与えられた評価を受け入れるしかないこともありました。しかし、ルーブリック評価を使えば、評価基準に対して学習者と評価者の双方の目線が揃っている状態で学習を始められます。学習目標を明確にできるだけでなく、評価に対する納得度も高まるでしょう。

・途中段階での到達度を測ることができる
テスト形式で評価を行う場合、対象となる学習範囲を学び終えてからでなければ、テストに回答することはできません。しかしルーブリック評価では、学習の途中段階でも評価することができるため、学習者は適切なフィードバックを受けることが可能です。

・自己評価をする力が伸びる
「評価観点」や「評価の基準」を示すことで、学習者はその課題において何が求められているのかを具体的に把握できます。学習者自身が現在の自分のレベルを確認でき、つまずいている場所や伸びている部分を発見できるようになります。そのため、自己評価をする力自ら改善していく力を身に付けることができます。

3-2. ルーブリック評価のデメリット

ルーブリック評価にはさまざまなメリットがあることがわかりましたが、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

・ルーブリック表の作成に時間がかかる
ルーブリック表の作成にはある程度時間がかかります。慣れた人なら1時間弱程度で作ることができるとも言われていますが、初心者の場合はもう少し時間がかかるでしょう。しかしこの時間をかけた分だけ、評価段階での時間の削減や学習効率の向上につながります。

・評価項目の設定次第ではパフォーマンスを正確に評価できない可能性がある
評価項目では高得点でも、パフォーマンス全体は良くない、あるいはその逆というケースもあると思います。その場合は、ルーブリック表の評価項目が適切でないか、重要な要素が抜けている可能性が考えられます。

評価項目は常に改善の余地があるため、適正な評価ができているかどうか検討し、常に改善していく必要があります。

・学習者の主体性を奪う恐れがある
事前に示された基準に沿って評価することは、「評価項目だけに対して努力すればよい」となり、むしろ学習者の主体性奪う可能性があります。評価者は本来の目的である、学習者の主体的な学びを損なわないようにしなければなりません。

4.パフォーマンスレベルの評価手順 【事例】ルーブリック評価を導入した人材育成

4-1.【事例1】株式会社JTBの「レッスンルーブリック」

株式会社JTBでは、自社の研修制度に「レッスンルーブリック」を設定しています。レッスンルーブリックとは、研修ごとに「この研修を受けるとどのような力が身に付くのか」を定義したもののことです。

従来も研修ごとに目的はありましたが、それらの目的をさらに具体的にして、「社として求める人財像とどうつながっているのか」を明確に定義したのが、レッスンルーブリックです。

評価項目はレベル1からレベル4まであり、レベル2が研修を受ける前提として必要な到達レベル、レベル3が研修で身に付く力、レベル4が研修後に目指す姿、というように設定しています。

図2)株式会社JTBが運用する、オリジナルレッスンルーブリックフォーマットイメージ

引用元)株式会社ライトワークス「導入成功事例 株式会社JTB 「社員を育てる」から「自ら育つ社員」へ。社員の行動変容を促す人財育成をLMSで実現する」,https://www.lightworks.co.jp/case-studies/9304 (閲覧日:2021年10月29日)

さらに特筆すべきは、レッスンルーブリックだけではなく、受講者自身が目標や活用法、その後の振り返りを記入するシートも併せて用意している点です。

研修前に、受講者はレッスンルーブリックを見ながら自ら目標設定をします。そして研修終了直後に学んだ内容をどのように活用していくかを考え、研修受講の1週間後・1カ月後・3カ月後にその実践状況や成果、改善方法をシートに記入していきます。

パフォーマンスレベルの評価手順

人事評価制度とは?導入する目的と成功する導入方法やポイントを解説

株式会社日本経営 / 取締役 橋本 竜也

この記事の目次

人事評価制度とは

人事考課・人事査定との違い

人事査定とは、人事評価とほぼ同義ですが、減点方式の印象を受けることが多く、あまり使われない傾向にあります。これらの言葉は、厳密に区分されずに使われることが多く、実際、それによって問題が起きることはほとんどありません。

PR:業績向上につなげる

人事評価制度を導入する目的

公平処遇の実現

組織活性化・モチベーション向上

確認してみると当たり前のように感じることもあるかもしれませんが、人事評価制度を構築していくにあたって、人事評価を実施する目的を押さえておくことは非常に重要です。なぜなら、人事評価制度自体は手段であり、目的に沿った形で構築、運用されなければ効果を発揮できないからです。

PR:病院・介護福祉の「組織人事診断」

つまり、自社に合わせた人事評価制度が必要であり、他社の人事評価制度を持ってきて使っても、人事制度の目的を果たすことはできないということでもあるのです。

人事評価制度導入の狙い

  • 従業員が増えてきて管理しきれなくなってきた
  • 社長が給与を個別に決めるのは限界になってきた
  • 従業員の貢献と年収が合っていないので合わせていきたい

それは、従業員のパフォーマンス向上と経営戦略の実行です。

人事評価制度は経営戦略に沿って従業員のパフォーマンスを向上させ、経営戦略の実行を高めるという機能が求められているのです。そのため、ただ人事評価を実施して、正しい評価結果を判定するというだけでは不十分です。

人事評価でよく出る問題点

人事評価の導入は、組織の活性化や従業員のモチベーション向上など、企業にとって数多くのメリットがあります。

一方、人事評価を導入することで、隠れていた組織の問題点が発生し、デメリットを伴うこともあります。

人事評価の種類・評価項目

職務遂行能力評価

②スキルレベル評価

①職務行動評価

②コンピテンシー評価

PR:医師の貢献を業績に繋げる

②目標達成評価

人事評価のベース職務資格制度

その後、能力主義から成果主義へと変わり、またその反動を受けて成果主義が少しマイルドになったりと人事制度のトレンドも変化し続けていますが、ベースとしての人事制度は変わらず職能資格制度であり、それを見直しながら運用しているというケースは少なくありません。

PR:登録15人まで、20日間無料

こうしたことから、成果そのものを評価するために目標管理制度が重視されたり、能力があるかどうかではなく、行動しているかどうかに注目する行動評価(コンピテンシー評価)が幅広く使われるようになるなど、職能資格制度の等級の概念は維持しつつも、人事評価制度は様々な工夫により、各社のやり方も広がっています。

欧米ではノーレイティングが主流

アメリカを中心とした欧米では、近年「ノーレイティング」が進んでいます。ある調査ではアメリカの大企業の8割以上がノーレイティングにしているか、しようとしているというデータもあり、日本でも関心が高くなっています。

PR:人事担当の負担を大幅に軽減

多くの実証研究において、また経験的にも順位付けは従業員のパフォーマンス向上につながらないことが示されています。つまり、人事評価導入の目的に沿わない。だから欧米ではレーティング(順位付け)をやめたということなのです。

欧米はいわゆるジョブ型と言われますが、担当している仕事と役割によって給与の絶対額が決まっています。日本は、人事評価によって「昇給額」が決まることがほとんどです。つまり、欧米は「絶対額管理」、日本は「昇給額管理」であることが大きな違いです。

E.FORUM 京都大学大学院教育学研究科

E.FORUM

伝統的な筆記テストは幅広い知識を覚えているかを評価するには適しています。しかし、文脈の中で知識やスキルを使いこなす能力を評価しようと思えば、パフォーマンスの評価が必要となります。
たとえば、運転免許を取得する場合は、大きく二種類の試験を突破する必要があります。一つは学科試験であり、これは道路交通法などに関する知識を選択問題によって問うものです。そこでは、個々の知識を再生できるかどうかが評価されています。もう一つは路上検定であり、一定のルートを適切かつ安全に運転しきるというパフォーマンスが求められます。
学科試験だけでも路上検定だけでも、運転手として十分な力を身につけたとはいえないでしょう。同様に、学力を評価する場合にも、筆記テストや実技テストとパフォーマンス課題とを組み合わせて用いることが重要なのです。

「本質的な問い」と「永続的理解」とは…

パフォーマンス課題は、「本質的な問い」と「永続的理解」に対応させて作ることが有効だと指摘されています。
「本質的な問い」とは、カリキュラムや教科の中心にあり、探究を促したり、本質的な内容を看破することを促進したりするような問いです。カリキュラムにおいては、単元を超えて繰り返し問われるような包括的な「本質的な問い」と、単元全体を貫く「本質的な問い」が、入れ子状に存在していると考えられます。
「永続的理解」とは、数年たって詳細を忘れた後でも身に付けておいてほしいような、重要な理解です。「永続的理解」は、学問の中心にあり、新しい状況に転移可能なものです。また、教室の中だけでなく、生活場面など様々な状況において価値をもつような理解です。

「ルーブリック(rubric:評価指標)」 とは

ルーブリックとは、成功の度合いを示す数段階程度の尺度と、尺度に示された評点・評語のそれぞれに対応するパフォーマンスの特徴を記した記述語(descriptor)から成る評価基準表です。 (表1参照)
ルーブリックは、自由記述問題やパフォーマンス課題など、○×で 評価できない評価法で採点指針として用いられます。

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる