超初心者向け

デルタの定義

デルタの定義

複素数の導入に含まれる問題

虚数単位 \(i\) は通常二次方程式 \[\label x^2+1=0\] の相異なる \(2\) 解の \(1\) つとして定義され,複素数は \(1\) と \(i\) デルタの定義 の線型結合として定義される.しかし,そもそも「解」というのは何かということが問題になってくる.「複素数」というくらいだから数でなければならないはずであるが複素数を「知らない」段階では数とは当然実数のことである.とすれば,虚数単位 \(i\) を「 \(2\) 乗すると \(-1\) になる‘実数’」として定義してしまっていることになっているのではないか.(そのような実数など存在しない.)このままでは虚数を用いて証明される実数の性質(恒等式など)であっても「虚数は存在しない」という一言で否定することができてしまうような気さえする.

今回は本問題を解決するため,[虚数]を二次正方行列の行列方程式 \[X^2+E=0\] と読み替え,( \(E\) は単位行列とした.)解の一つとして虚数単位を定義する立場から複素数の諸性質と複素関数の微分積分を考えることにする.ついでにコーシーの積分定理の証明(グリーンの定理や微小三角形を用いるもの)にも不満があって書いている途中にパラメータ積分として証明できることをたまたま思いついたのでその証明も残した.(が,よく考えると結局無理だった.)あと微分方程式やテイラー展開を使わずにオイラーの公式を導いた.複素数がテーマなので,行列版代数学の基本定理を示すことまでを目標とする.

複素数の定義

\(a,b\in<\mathbb>\) に対し, \[aE+bI\] をと呼ぶ.ただし, デルタの定義 \(E\) は二次正方単位行列, \(I\) は \(2\) 乗すると \(-E\) になる行列の一つとする.ここでは簡単のため \[I= \begin 0 & -1 \\ 1 & 0 \\ \end\] として考える.すなわち \[aE+bI= a\begin 1 & 0 \\ 0 & 1\\ \end+b \begin 0 & -1 デルタの定義 \\ 1 & 0 \\ \end =\begin a & -b \\ b & a \\ \end\] という“行列”を複素数と呼ぶことにするのである.

定義の由来

回転行列 デルタの定義 \[R_=\begin[r] \cos\theta & -\sin\theta\\ \sin\theta & \cos\theta \end\] を考える.いま \[-E=R_<\pi>\] より, \(2\) 乗すると \(-E\) になる行列として \[I=R_<\frac<\pi>>=\begin 0&-1\\ 1&0 \end\] を考えるのが自然であるような気がする.この方法で複素数を構成すると \[R_=E+I\] となり,複素数平面としてのイメージがしやすくなるという利点がある.

\(I\) と \(E\) が一次独立であるようにするため \[I=\begin 0&b\\ c&0 \end\] と仮におくと \[I^2=bcE\] より \(bc=-1\) でなければならない. \(b,c\in\mathbb\) として \[(b,c)=(1,-1),(-1,1)\] である.後者を \(I\) とおけば,前者は \(-I\) で表せる.この解釈においても \[I=\begin デルタの定義 0&-1\\ 1&0 \end\] である.

複素数の性質

以後複素数の集合を \(\mathbb\) と呼ぶことにする. \(\mathbb\in M_2\l(\mathbb\r)\) である.ここで \(M_2\l(\mathbb\r)\) は実二次正方行列の集合とした.複素数の加減乗法は行列のものを用いて定義する. \(\mathbb\) には乗法の単位元 \(E\) ,零元 \(O\) , \(O\) でない元 \(A\) に対する逆元 \(A^\) の存在,乗法の可換性から \(\mathbb\) は体である.

\(\forall A,B\in \mathbb\ AB=BA\)

\(\sqrt=\sqrt\) を \(A\) の絶対値と呼ぶことにして,ここだけの記号として \(\l|A\r|\) ( \(\det A\) と区別することに注意)と表すことにする.

複素数の微分

行列の微分公式

オイラーの公式

写像 \(\exp : \mathbb \to \mathbb\) ;微分可能 を以下を満たす写像として定義する. 写像 \(\exp\) が存在しかつ一通りに定まる,すなわち \(\forall r,\theta \in \mathbb\) に対して \[\exp \l(rE+\theta I\r) =e^r \begin \cos \theta & -\sin \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end =e^r R_=e^r \l(E\cos \theta +I\sin \theta \r)\] であることを示す.これは有名なオイラーの公式の行列表記である. (1)によって を示せば十分である.

その他の関数の拡張

複素数の積分

複素数の積分を以下で定義する. \[\int_^<> f\l(Z\r) \, dZ \equiv \lim_ \sum_^ f\l(Z_\r) \Delta Z_k\] ただし \(\Delta Z_k=Z_-Z_\) とする.

コーシーの積分定理

\[\oint_ f\l(Z\r) \, dZ=O\] コーシーの積分定理により積分の値が経路によらないことを示すことができる. 行列の置換積分を示したい.以降簡単のため複素数 \(A\) の逆行列を \(\drac\) のように簡略化して表すことにする.

コーシーの積分公式

\(Z=xE+yI+A,x=\cos \theta ,y=\sin \theta\) とパラメータ表示することで \(C\) を中心 \(A\) の円周上の経路として \[\oint_^<> \l(Z-A\r) ^\, dZ=2\pi I\] デルタの定義 がわかる.よって \[\oint_^<> f\l(Z\r) \l(Z-A\r) ^\, dZ = \oint_ \left\< f\l(Z\r) -f\l(A\r) \right\>\l(Z-A\r) ^\, dZ+2\pi If\l(A\r)\] であり第一項は \(C\) デルタの定義 デルタの定義 の半径 \(\rho\) として \(C\) 上において \(\l|f\l(Z\r) -f\l(A\r) \r| <\e\) とすると \[\l|\oint_\left\< f\l(Z\r) -f\l(A\r) \right\>\l(Z-A\r) ^\, dZ\r| \leq \oint_ \drac\e \, dZ=2\pi \rho\drac\e=2\pi \e\] であり, \(\e \to 0\) で \(2\pi \e \to 0\) になるので示す等式が得られた.

モデルナ製(とファイザー製)ワクチンのデルタ株に対する有効性

2021年初頭の段階で、カタール国内では アルファ株(デルタの定義 B.1.1.7) による感染拡大と ベータ株(B.1.351) による感染拡大が立て続けに起こっていた。同年3月末には デルタ株(B.1.617.2) が初めてカタールで検出された。SARS-CoV-2感染者数増加に伴ってデルタ株の検出も増加し, デルタの定義 同年夏には200件/day近くで推移していたものの、2021年9月の段階では、他の変異株の発生数と比較しても低値であり, 感染拡大の兆候もない。2021年3/23~9/7の間に診断されたSARS-CoV-2感染例のうち、43%がデルタ株だった。なお2 021年9/19時点で、 カタールの全人口の80%超が BNT162b2ワクチン(ファイザー製) , ないし mRNA-1273ワクチン(モデルナ製) の2回接種を受けたと推定されている 。この研究では、2021年3/23~9/7の期間で、カタール国内におけるファイザー製・モデルナ製ワクチンのデルタ株に対する有効性を推計した。

(2) Methods

この研究はカタール市民を対象に行われた。Hamad Medical Corporationにて、 全国規模のデータベースよりCOVID-19検査結果, ワクチン接種記録, SARS-CoV-2感染に関するデータ等を抽出した。

ワクチンの有効性は、検査陰性症例対照研究デザインを用いて推計した。2021年3/23~9/7の間にカタールで発生した全感染例(PCR検査でデルタ株感染が診断された人)と対照例(PCR検査でSARS-CoV-2が陰性だった人)が対象となった。

感染例2021年3/23~9/7の間にPCR検査で初めてデルタ株陽性となった人 と定義した。 対照例は、 デルタの定義 デルタの定義 その他のPCR陽性者を 除外 後 , 同期間において初めてPCR陰性となった人 と定義した。

旅行前, もしくは 入国時に実施したPCR検査は今回除外 した。

今回、デルタ株感染に対する有効性, 及び デルタ株と関連した重症, 危機的 or 致死的COVID-19に対する有効性を推計した。

コロナワクチン被接種者及び未接種者のPCR検査記録を全て検証し, 1回目と2回目で別種のコロナワクチンを接種された人 , もしくは ファイザー製・モデルナ製以外のコロナワクチンを接種された人除外 した。

なおここではCOVID-19重症度の表記にWHOの定義を用いている。

研究サンプルは頻度分布と, 中心傾向("central tendency")により記述された。 感染例と対照例のワクチン接種のoddsを比較したodds比と, その95%信頼区間(CI; confidence interval)を推計した 。次に、異なる時期におけるワクチン有効性とその95%CIを以下の公式により算出した。

[ワクチン有効性] = 1 - [症例と対照例のワクチン接種のodds比]

(3) Result

  • ファイザー製: 少なくとも1回は接種済: 950,232名, 2回目接種済: 916,290名
  • モデルナ製: 少なくとも1回は接種済: 564,468名, 2回目接種済: 509,322名

ここで 『デルタ株感染例』 は、 PCR検査実施理由 ないし 症状の有無に 関係なく , PCR検査でデルタ株陽性となった症例 と定義する。追加の解析でベータ株感染を検討したことを例外として、 他の変異株への感染例は除外 した。

2021年3月〜9月の間の デルタ株による ブレークスルー感染 例 は、

  • ファイザー製: 1回目接種の後: 88名, 2回目接種の後: 1,126名
  • モデルナ製: 1回目接種後: 60名, 2回目接種後: 187名

これに加えて、2021年9/7までに、 デルタ株による 重症 COVID-19症例 は、

  • ファイザー製: 1回目接種後: 4名, 2回目接種後: 15名
  • モデルナ製: 1回目接種後: 3名, 2回目接種後: 2名

また 危機的 COVID-19症例・ 死亡 例 に関しては、

  • ファイザー製: 1回目接種後: 1名(その後死亡), 2回目接種後: 2名
  • モデルナ製: 致死的症例ないし死亡例は0

1回目接種後14日以上(2回目接種は まだ )のデルタ株 感染 に対する有効性 は、

  • ファイザー製: 45.3% (95%CI 22.0~61.6)
  • モデルナ製: 73.7% (95%CI 58.1~83.5)
  • 両者を含めたもの: 58.0% (95%CI 44.4~68.2)

1回目 接種後14日以上(2回目接種は まだ )のデルタ株による 重症COVID-19, 危機的COVID-19, ないし 死亡 に対する有効性は、ファイザー製・モデルナ製・両者を含めたもの に関して80~87% だったものの、 デルタ株症例数が比較的少なかった ことから95%CIが広かった。

2回目接種14日以上におけるデルタ株 感染 に対する有効性は、

  • ファイザー製: 51.9% (95%CI 47.0~56.4)
  • デルタの定義
  • モデルナ製: 73.1% (95%CI 67.5~77.8)
  • 両者を含めたもの: 55.5% (95%CI 51.2~59.4)

2回目接種14日以上におけるデルタ株による 重症, 危機的COVID-19ないし死亡 に対する有効性は

  • ファイザー製: 93.4% (95%CI 85.4~97.0)
  • モデルナ製: 96.1% (95%CI 71.6~99.5)
  • 両者を含めたもの: 93.6% (95%CI 85.9~97.1)

Sensitivity analysis (SARS-CoV-2感染既往や医療従事者に関して調整したもの)は上記の結果と同一だった。

50歳以上におけるデルタ株感染に対するワクチン有効性は、50歳未満のそれよりも 低かった 。しかしながら、 この結果は50歳以上の人は50歳未満よりも早期に2回目接種を受けたという文脈で解釈せねばならない 。

2回目接種14日以上における 症候性 デルタ株感染に対する有効性は、

  • ファイザー製: 44.4% (95%CI デルタの定義 37.0~50.9)
  • モデルナ製: 73.9% (95%CI 65.9~79.9)
  • 両者を含めたもの: 49.2% (95%CI 42.8~54.9)

2回目接種14日以上における 無 症候性 デルタ株感染に対する有効性 は、

  • ファイザー製: 46.0% (95%CI 32.3~56.9)
  • モデルナ製: 53.6% (95%CI 33.4~67.6)
  • 両者を含めたもの: 45.9% (95%CI 33.3~56.1)

比較の為に、 2021年3/23~9/7の期間におけるベータ株 感染 に対する有効性 も推計した。

  • ファイザー製: 1回目のみ接種後14日以上: 18.9% (95%CI -1.8~35.4) , 2回目接種後14日以上: 74.3% (95%CI 70.3~77.7)
  • モデルナ製: 1回目のみ接種後14日以上: 66.3% (95%CI 55.8~74.2) , 2回目接種後14日以上: 80.8% (95%CI 69.0~88.2)

ベータ株による 重症, 危機的COVID-19 ないし 死亡 への有効性は、両ワクチンで>90% だった。

ベータ株に対する有効性とデルタ株に対するそれを比較する際には、 ベータ株のPCRによる診断期日の中央値は2021年4/15 だが、 デルタ株のPCRによる診断期日の中央値は2021年8/2 であることに 注意が必要 である2021年8/1~9/7の期間に、RT-qPCRによりgenotypeが診断された症例の83.6%がデルタ株であった 。

(4) Discussion

ファイザー製とモデルナ製のコロナワクチンは、英国・米国・イスラエルの研究と同様、デルタ株と関連した入院・死亡に対して強固な有効性(>90%)を示した 。特にファイザー製コロナワクチンでは、多くのブレークスルー感染症例にも関わらず、ワクチン被接種者内で重症or危機的COVID-19症例数は少なかった。

注目すべきことに、1回目接種後14日以上ないし2回目接種後14日以上におけるファイザー製orモデルナ製ワクチンのデルタ株感染に対する有効性は同等だった。 最近のevidenceは、特にファイザー製ワクチンに関して、時間経過とともにワクチンの有効性が顕著に減少することを示している 。 アルファ株 や ベータ株 に対する高い有効性は、カタールの住民の大半がファイザー製・モデルナ製コロナワクチンを接種されたばかりの時期に推計されたものである 。逆に、 今回推計した デルタ株 に対する有効性は、 2回目接種後から何ヶ月も経過した時期に 推計したもの である。 従って、コロナワクチン2回目接種後の人における デルタ株 に対する低い有効性は、ワクチンの予防効果の漸減を反映している可能性がある

こうした知見は、他所で行われたデルタ株に対する有効性の報告において見られるパターンと一致する。 この研究におけるファイザー製コロナワクチン有効性(2回目接種完了後)51.9%という数字は、英国・カナダよりも低いものの, イスラエル・米国と類似している。英国・カナダでは2回目接種が延期された結果、大半の人がイスラエル・米国・カタールよりも直近の時期に2回目接種が完了していた。よって、 イスラエル・米国・カタールにおける低い有効性は、2020年末・2021年初頭に2回目接種が完了した人におけるワクチン予防効果減少を示しているのかもしれない 。

他に今回の知見を説明可能なものに、カタール国内でデルタ株の症例数が緩徐に増加している時期に行われた公衆衛生上の規制の段階的緩和が挙げられる 。ワクチン接種状況に応じて規制が緩和されるとともに(スマホアプリ["Ehteraz app"と呼ばれるもの]インストール義務が課された), 被接種者は未接種者よりも社交的な接触率("social contact rate")が高くなっていた可能性があり、また、マスク装着といった安全対策へ従わなかった可能性もある。

ファイザー製ワクチンと比べて モデルナ製ワクチンでは2回目接種後にデルタ株感染への高い有効性が推計され、 モデルナ製ワクチンがより強力な免疫と予防効果を誘導したとする研究にも一致する。

youtu.be

デルタ株流行下でのコロナワクチンの有効性

※上記の参考文献はFowlkes A, Gaglani M et al. "Effectiveness of COVID-19 Vaccines in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Frontline Workers Before and During B.1.617.2(Delta) Variant Predominance - Eight U.S. Locations, December 2020-August 2021." MMWR. August 27, 2021/Vol. 70/No. 34です。

University of California San Diego Health(UCSDH; カリフォルニア大学サンディエゴ校の附属病院?) の医療スタッフは2020年12月に、SARS-CoV-2感染例の急増を経験した 。同年12月中旬にmRNAワクチン接種が開始され、2021年3月までには76%, 同年7月までには87%の医療スタッフがワクチン接種を完了させていた。同年2月上旬までには、スタッフ内の感染例は激減していた。 しかし、 同年6/15に カリフォルニア州のマスク装着義務が終了し, デルタ株が急速に優勢となった (Fig. 1) ことから、医療スタッフでの感染例が急増してしまった。

f:id:VoiceofER:20210919143256p:plain

2021年3/1〜7/31の間に 、227名のUCSDH医療スタッフがPCRでSARS-CoV-2陽性となった。 このうち130名(57.3%)がワクチン接種を完了させていた。なおワクチン未接種スタッフ感染者と接種完了スタッフ感染者の双方で死亡例は認められなかったが、未接種感染スタッフ1名がCOVID-19により入院した。

f:id:VoiceofER:20210919143316p:plain

3〜7月の毎月についてワクチン有効性を計算した(Table 1) 。 attack rateは、

  • 2021年1~2月にワクチン接種を完了させたスタッフ: 1,000名ごとに6.7(95%CI 5.9~7.8)
  • 同年3~5月にワクチン接種を完了させたスタッフ: 1,000名ごとに3.7(95%CI デルタの定義 デルタの定義 2.5~5.7)
  • 未接種スタッフにおける5月までのattack tate: 1,000名ごとに16.4(95%CI 11.8~22.9)

ワクチンの症候性COVID-19に対する有効性が、デルタ株については低下し, また ワクチン接種後の時間経過に伴って低下する可能性が示唆された。

※上記の参考文献は、Binkin NJ, Laurent LC. et al. "Resurgence of SARS-CoV-2 Infection in a Highly Vaccinated Health System Workforce." New Engl J Med. DOI: 10.1056/NEJMc2112981 です。

VISION Network とは、 2021年6〜8月の間に, 187ヶ所の病院と221ヵ所の救急外来(emargency department; ED)・緊急治療(urgent care)クリニックの受診者を調べるために、米国CDCが使用したネットワークである。 なお同年6月には、このネットワークに参加している各施設で分離・配列解析されたSARS-CoV-2の>50%がデルタ株となっていた。

1)18歳以上で, 2)入院・受診の14日前 or 入院受診72時間後にPCRでSARS-CoV-2感染が診断され, 3)退院時診断名がCOVID-19様症状である 人のデータが登録された。 mRNAワクチン接種が1回のみ, もしくは 2回目接種が受診・受診日後14日未満であった人は除外 された。ここで『ワクチン完全接種済(fully vaccination)』とは、検査or受診の14日以上前にmRNAワクチン2回目接種, ないし Ad26.COV2ワクチン単回接種を受けていたことを意味する。また『未接種(unvaccinated)』の定義は、コロナワクチンを一切受けていない状態を意味する。

COVID-19様症状で入院した14,636名の中でSARS-CoV-2感染が診断された参加者の内訳は、

  • ワクチン未接種の割合: デルタの定義 18.9%(1,316/6,960名)
  • ワクチン完全接種済の割合: 3.1%(235/7,676名)

であり、 COVID-19による 入院 に対するワクチン有効性は86%(95%CI 82~89%) だった。

COVID-19様症状でED/UCを受診した18,231名の中でSARS-CoV-2感染が診断された参加者の内訳は、

    デルタの定義
  • ワクチン未接種の割合: 28.9%(3,145/10,872名)
  • ワクチン完全接種済の割合: 7.0%(512/7,359名)

であり、 COVID-19による 受診 に対するワクチン有効性は82%(95%CI 81~84%) だった。

※上記の参考文献は、 Grannis デルタの定義 S, Rowley EA. et al. "Interim Estimate of COVID-19 Vaccine Effectiveness Against COVID-19-Associated Emergency Department or Urgent Care Clinic Encounters and Hospitalizations Among Adults During SARS-CoV-2 B.1.617.2(Delta) Variant Predominance - Nine States, June-August 2021." デルタの定義 デルタの定義 MMWR/September 17, 2021/Vol. 70/No. 37です。

(2) ノルウェーのデータ

ノルウェーで最初にデルタ株が検出されたのは 2021年4月中旬 であったが, 7月中旬までに デルタ株は、配列解析された検体の67%を占めており 、アルファ株に取って替わった。 2021年8/19に "BeredtC19"(SARS-CoV-2感染例と医療サービス使用率を監視する為に作られた、ノルウェー全国規模のregstry)からデータを取得 した。 18歳以上の全成人が含まれ, 同年4/15~8/15のデータを使用した 。 Outcomeは、デルタ株またはアルファ株への感染に設定した。 SARS-CoV-2感染感染既往ありの人, 推奨されているコロナワクチン1回目-2回目接種の間隔に従ってワクチン接種を受けなかった人は除外 された。ノルウェーで推奨されている1回目-2回目接種間隔は、免疫が正常な人ではファイザー製; 12週間, モデルナ製; 12週間, 免疫不全がある人では、ファイザー製; 3週間, モデルナ製; 4週間だった。なお、ここで『未接種(unvavvinated)』とは(文字通り)コロナワクチン未接種 ないし 1回目接種後から21日未満のことを指し, 『部分接種済(partly vaccinated)』とは1回目接種から21日以上経過 and/or 2回目接種から7日以内のこと, 『完全接種済(fully vaccinated)』とは2回目接種から7日以上経過したことを示す。

f:id:VoiceofER:20210919151139p:plain

合計で4,204,859名が含まれ、うち32.4%(1,360,772名)が部分接種済, 46.0%(1,934,912名)が完全接種済 であった。感染者数やワクチン接種率変動を Figure 1 に示す。 2021年8/15までに、 27,284名がSARS-CoV-2陽性となった。

  • デルタ株は5,430名(0.13%)で検出 され、うち部分接種済は1,609名(29.6%), 完全接種済は558名(10.3%)だった。
  • アルファ株は13,001名(0.31%)で検出 され、うち部分接種済は596名(4.6%), 完全接種済は207名(1.6%)だった。

年齢や性別, 出生地域, 居住地, 併存疾患で調整して、デルタ株感染とアルファ株感染に対するワクチン有効性を推計した。

  • デルタ株感染に対する有効性: 部分接種済; 22.4%(95%CI 17.0~27.4), 完全接種済; 64.6%(95%CI 60.6~68.2)
  • アルファ株感染に対する有効性: 部分接種済; 54.5%(95%CI 50.デルタの定義 4~58.3), 完全接種済; 84.4%(95%CI 81.8~86.5)

※上記の参考文献は、Seppala E, Veneti L. et al. "Vaccine effectiveness against infection with the Delta(B.1.617.2) variant, Norway, April to August 2021." Euro Surveill. 2021;26(35):pii=2100793. https://doi.org/10.2807/1560-7917.ES.2021.26.35.2100793 です。

こうした知見をもとに、コロナワクチン(主にmRNAワクチン)のデルタ株流行下における有効性をまとめてみると、

  • 感染に対する有効性: 医療従事者間ですら60%台後半へ低下あり(ワクチンが誘導した免疫の経時的な低下も考慮に入れる必要あり)
  • COVID-19による入院や救急外来受診に対する有効性: 成人において80%台

ということになるのでしょうか。私は、各国政府や専門家がコロナワクチン3回目接種へ前向きになる理由がまた一つ分かったような気がしました。

複素数の導入に含まれる問題

虚数単位 \(i\) は通常二次方程式 \[\label x^2+1=0\] の相異なる \(2\) 解の \(1\) つとして定義され,複素数は \(1\) と \(i\) の線型結合として定義される.しかし,そもそも「解」というのは何かということが問題になってくる.「複素数」というくらいだから数でなければならないはずであるが複素数を「知らない」段階では数とは当然実数のことである.とすれば,虚数単位 \(i\) を「 \(2\) 乗すると \(-1\) になる‘実数’」として定義してしまっていることになっているのではないか.(そのような実数など存在しない.)このままでは虚数を用いて証明される実数の性質(恒等式など)であっても「虚数は存在しない」という一言で否定することができてしまうような気さえする.

今回は本問題を解決するため,[虚数]を二次正方行列の行列方程式 \[X^2+E=0\] と読み替え,( \(E\) は単位行列とした.)解の一つとして虚数単位を定義する立場から複素数の諸性質と複素関数の微分積分を考えることにする.ついでにコーシーの積分定理の証明(グリーンの定理や微小三角形を用いるもの)にも不満があって書いている途中にパラメータ積分として証明できることをたまたま思いついたのでその証明も残した.(が,よく考えると結局無理だった.)あと微分方程式やテイラー展開を使わずにオイラーの公式を導いた.複素数がテーマなので,行列版代数学の基本定理を示すことまでを目標とする.

複素数の定義

\(a,b\in<\mathbb>\) に対し, \[aE+bI\] をと呼ぶ.ただし, \(E\) は二次正方単位行列, \(I\) は \(2\) 乗すると \(-E\) になる行列の一つとする.ここでは簡単のため \[I= \begin 0 & -1 \\ 1 & 0 \\ \end\] として考える.すなわち \[aE+bI= a\begin 1 デルタの定義 & 0 \\ 0 & 1\\ \end+b \begin 0 & -1 \\ 1 & 0 \\ \end =\begin a & -b \\ b & a \\ \end\] という“行列”を複素数と呼ぶことにするのである.

定義の由来

回転行列 \[R_=\begin[r] \cos\theta & -\sin\theta\\ \sin\theta & \cos\theta \end\] を考える.いま \[-E=R_<\pi>\] より, \(2\) 乗すると \(-E\) になる行列として \[I=R_<\frac<\pi>>=\begin 0&-1\\ 1&0 \end\] を考えるのが自然であるような気がする.この方法で複素数を構成すると \[R_=E+I\] となり,複素数平面としてのイメージがしやすくなるという利点がある.

\(I\) と \(E\) が一次独立であるようにするため \[I=\begin 0&b\\ c&0 \end\] と仮におくと \[I^2=bcE\] より \(bc=-1\) でなければならない. \(b,c\in\mathbb\) として \[(b,c)=(1,-1),(-1,1)\] である.後者を \(I\) とおけば,前者は \(-I\) で表せる.この解釈においても \[I=\begin 0&-1\\ 1&0 \end\] である.

複素数の性質

以後複素数の集合を \(\mathbb\) と呼ぶことにする. \(\mathbb\in M_2\l(\mathbb\r)\) である.ここで \(M_2\l(\mathbb\r)\) は実二次正方行列の集合とした.複素数の加減乗法は行列のものを用いて定義する. \(\mathbb\) には乗法の単位元 \(E\) ,零元 \(O\) , \(O\) でない元 \(A\) に対する逆元 \(A^\) の存在,乗法の可換性から \(\mathbb\) は体である.

\(\forall A,B\in \mathbb\ AB=BA\)

\(\sqrt=\sqrt\) を \(A\) の絶対値と呼ぶことにして,ここだけの記号として \(\l|A\r|\) ( \(\det A\) と区別することに注意)と表すことにする.

複素数の微分

行列の微分公式

オイラーの公式

写像 \(\exp : \mathbb \to \mathbb\) ;微分可能 を以下を満たす写像として定義する. 写像 \(\exp\) が存在しかつ一通りに定まる,すなわち \(\forall r,\theta \in \mathbb\) に対して \[\exp \l(rE+\theta I\r) =e^r \begin \cos \theta & -\sin デルタの定義 デルタの定義 \theta \\ \sin \theta & \cos \theta \end =e^r R_=e^r \l(E\cos \theta +I\sin \theta \r)\] であることを示す.これは有名なオイラーの公式の行列表記である. (1)デルタの定義 によって を示せば十分である.

その他の関数の拡張

複素数の積分

複素数の積分を以下で定義する. \[\int_^<> f\l(Z\r) \, dZ \equiv \lim_ \sum_^ f\l(Z_\r) \Delta Z_k\] ただし \(\Delta Z_k=Z_-Z_\) とする.

コーシーの積分定理

\[\oint_ f\l(Z\r) \, dZ=O\] コーシーの積分定理により積分の値が経路によらないことを示すことができる. 行列の置換積分を示したい.以降簡単のため複素数 \(A\) の逆行列を \(\drac\) のように簡略化して表すことにする.

コーシーの積分公式

\(Z=xE+yI+A,x=\cos \theta ,y=\sin \theta\) とパラメータ表示することで \(デルタの定義 C\) を中心 \(A\) の円周上の経路として \[\oint_^<> \l(Z-A\r) ^\, dZ=2\pi I\] がわかる.よって \[\oint_^<> f\l(Z\r) \l(Z-A\r) ^\, dZ デルタの定義 = \oint_ \left\< f\l(Z\r) -f\l(A\r) \right\>\l(Z-A\r) ^\, dZ+2\pi If\l(A\r)\] であり第一項は \(C\) の半径 \(\rho\) として \(C\) 上において \(デルタの定義 デルタの定義 \l|f\l(Z\r) -f\l(A\r) \r| <\e\) とすると \[\l|\oint_\left\< f\l(Z\r) -f\l(A\r) \right\>\l(Z-A\r) ^\, dZ\r| \leq \oint_ \drac\e \, dZ=2\pi \rho\drac\e=2\pi \e\] であり, \(\e \to 0\) で \(2\pi \e \to 0\) になるので示す等式が得られた.

モデルナ製(とファイザー製)ワクチンのデルタ株に対する有効性

2021年初頭の段階で、カタール国内では アルファ株(B.1.1.7) による感染拡大と ベータ株(B.デルタの定義 1.351) による感染拡大が立て続けに起こっていた。同年3月末には デルタ株(B.1.617.2) が初めてカタールで検出された。SARS-CoV-2感染者数増加に伴ってデルタ株の検出も増加し, 同年夏には200件/day近くで推移していたものの、2021年9月の段階では、他の変異株の発生数と比較しても低値であり, 感染拡大の兆候もない。2021年3/23~9/7の間に診断されたSARS-CoV-2感染例のうち、43%がデルタ株だった。なお2 021年9/19時点で、 カタールの全人口の80%超が BNT162b2ワクチン(ファイザー製) , ないし mRNA-1273ワクチン(モデルナ製) デルタの定義 の2回接種を受けたと推定されている 。この研究では、2021年3/23~9/7の期間で、カタール国内におけるファイザー製・モデルナ製ワクチンのデルタ株に対する有効性を推計した。

(2) Methods

この研究はカタール市民を対象に行われた。Hamad Medical Corporationにて、 全国規模のデータベースよりCOVID-19検査結果, ワクチン接種記録, SARS-CoV-2感染に関するデータ等を抽出した。

ワクチンの有効性は、検査陰性症例対照研究デザインを用いて推計した。2021年3/23~9/7の間にカタールで発生した全感染例(PCR検査でデルタ株感染が診断された人)と対照例(PCR検査でSARS-CoV-2が陰性だった人)が対象となった。

感染例2021年3/23~9/7の間にPCR検査で初めてデルタ株陽性となった人 と定義した。 対照例は、 その他のPCR陽性者を 除外 後 , 同期間において初めてPCR陰性となった人 と定義した。

旅行前, もしくは 入国時に実施したPCR検査は今回除外 した。

今回、デルタ株感染に対する有効性, デルタの定義 及び デルタ株と関連した重症, 危機的 or 致死的COVID-19に対する有効性を推計した。

コロナワクチン被接種者及び未接種者のPCR検査記録を全て検証し, 1回目と2回目で別種のコロナワクチンを接種された人 , もしくは ファイザー製・モデルナ製以外のコロナワクチンを接種された人除外 した。

なおここではCOVID-19重症度の表記にWHOの定義を用いている。

研究サンプルは頻度分布と, 中心傾向("central tendency")により記述された。 感染例と対照例のワクチン接種のoddsを比較したodds比と, その95%信頼区間(CI; confidence デルタの定義 interval)を推計した 。次に、異なる時期におけるワクチン有効性とその95%CIを以下の公式により算出した。

[ワクチン有効性] = 1 - [症例と対照例のワクチン接種のodds比]

(3) Result

  • ファイザー製: 少なくとも1回は接種済: 950,232名, 2回目接種済: 916,290名
  • モデルナ製: 少なくとも1回は接種済: 564,468名, 2回目接種済: 509,322名

ここで 『デルタ株感染例』 は、 PCR検査実施理由 ないし 症状の有無に 関係なく , PCR検査でデルタ株陽性となった症例 と定義する。追加の解析でベータ株感染を検討したことを例外として、 他の変異株への感染例は除外 した。

2021年3月〜9月の間の デルタ株による ブレークスルー感染 例 は、

  • ファイザー製: 1回目接種の後: 88名, 2回目接種の後: 1,126名
  • モデルナ製: 1回目接種後: 60名, 2回目接種後: 187名

これに加えて、2021年9/7までに、 デルタ株による 重症 COVID-19症例 は、

  • ファイザー製: 1回目接種後: 4名, 2回目接種後: 15名
  • モデルナ製: 1回目接種後: 3名, 2回目接種後: 2名

また 危機的 COVID-19症例・ 死亡 例 に関しては、

  • ファイザー製: 1回目接種後: 1名(その後死亡), 2回目接種後: 2名
  • モデルナ製: 致死的症例ないし死亡例は0

1回目接種後14日以上(2回目接種は まだ )のデルタ株 デルタの定義 感染 に対する有効性 は、

  • ファイザー製: 45.3% (95%CI 22.0~61.6)
  • モデルナ製: 73.7% (95%CI 58.1~83.5)
  • 両者を含めたもの: 58.0% (95%CI 44.4~68.2)

1回目 接種後14日以上(2回目接種は まだ )のデルタ株による 重症COVID-19, 危機的COVID-19, ないし 死亡 に対する有効性は、ファイザー製・モデルナ製・両者を含めたもの に関して80~87% だったものの、 デルタ株症例数が比較的少なかった ことから95%CIが広かった。

2回目接種14日以上におけるデルタ株 感染 に対する有効性は、

  • ファイザー製: 51.9% (95%CI 47.0~56.4)
  • モデルナ製: 73.1% (95%CI 67.5~77.8)
  • 両者を含めたもの: 55.5% (95%CI 51.2~59.4)

2回目接種14日以上におけるデルタ株による 重症, 危機的COVID-19ないし死亡 に対する有効性は

  • ファイザー製: 93.4% (95%CI 85.4~97.0)
  • モデルナ製: 96.1% (95%CI 71.6~99.5)
  • 両者を含めたもの: 93.6% (95%CI 85.9~97.1)

Sensitivity analysis (SARS-CoV-2感染既往や医療従事者に関して調整したもの)は上記の結果と同一だった。

50歳以上におけるデルタ株感染に対するワクチン有効性は、50歳未満のそれよりも 低かった 。しかしながら、 この結果は50歳以上の人は50歳未満よりも早期に2回目接種を受けたという文脈で解釈せねばならない 。

2回目接種14日以上における 症候性 デルタ株感染に対する有効性は、

  • ファイザー製: 44.4% (95%CI 37.0~50.9)
  • モデルナ製: 73.9% (95%CI 65.9~79.9)
  • 両者を含めたもの: 49.2% (95%CI 42.8~54.9)

2回目接種14日以上における 無 症候性 デルタ株感染に対する有効性 は、

  • ファイザー製: 46.0% (95%CI 32.3~56.9)
  • モデルナ製: 53.6% (95%CI 33.4~67.6)
  • 両者を含めたもの: 45.9% (95%CI 33.3~56.1)

比較の為に、 2021年3/23~9/7の期間におけるベータ株 感染 に対する有効性 も推計した。

  • ファイザー製: 1回目のみ接種後14日以上: 18.9% (95%CI -1.8~35.4) , 2回目接種後14日以上: 74.3% (95%CI 70.3~77.7)
  • モデルナ製: 1回目のみ接種後14日以上: 66.3% (95%CI 55.8~74.2) , 2回目接種後14日以上: 80.8% (95%CI 69.0~88.2)デルタの定義 デルタの定義

ベータ株による 重症, 危機的COVID-19 ないし 死亡 への有効性は、両ワクチンで>90% だった。

ベータ株に対する有効性とデルタ株に対するそれを比較する際には、 ベータ株のPCRによる診断期日の中央値は2021年4/15 だが、 デルタ株のPCRによる診断期日の中央値は2021年8/2 であることに 注意が必要 である2021年8/1~9/7の期間に、RT-qPCRによりgenotypeが診断された症例の83.6%がデルタ株であった 。

(4) Discussion

ファイザー製とモデルナ製のコロナワクチンは、英国・米国・イスラエルの研究と同様、デルタ株と関連した入院・死亡に対して強固な有効性(デルタの定義 >90%)を示した 。特にファイザー製コロナワクチンでは、多くのブレークスルー感染症例にも関わらず、ワクチン被接種者内で重症or危機的COVID-19症例数は少なかった。

注目すべきことに、1回目接種後14日以上ないし2回目接種後14日以上におけるファイザー製orモデルナ製ワクチンのデルタ株感染に対する有効性は同等だった。 最近のevidenceは、特にファイザー製ワクチンに関して、時間経過とともにワクチンの有効性が顕著に減少することを示している 。 アルファ株 や ベータ株 に対する高い有効性は、カタールの住民の大半がファイザー製・モデルナ製コロナワクチンを接種されたばかりの時期に推計されたものである 。逆に、 今回推計した デルタ株 に対する有効性は、 2回目接種後から何ヶ月も経過した時期に 推計したもの である。 従って、コロナワクチン2回目接種後の人における デルタ株 に対する低い有効性は、ワクチンの予防効果の漸減を反映している可能性がある

こうした知見は、他所で行われたデルタ株に対する有効性の報告において見られるパターンと一致する。 この研究におけるファイザー製コロナワクチン有効性(2回目接種完了後)51.9%という数字は、英国・カナダよりも低いものの, イスラエル・米国と類似している。英国・カナダでは2回目接種が延期された結果、大半の人がイスラエル・米国・カタールよりも直近の時期に2回目接種が完了していた。よって、 イスラエル・米国・カタールにおける低い有効性は、2020年末・2021年初頭に2回目接種が完了した人におけるワクチン予防効果減少を示しているのかもしれない 。

他に今回の知見を説明可能なものに、カタール国内でデルタ株の症例数が緩徐に増加している時期に行われた公衆衛生上の規制の段階的緩和が挙げられる 。ワクチン接種状況に応じて規制が緩和されるとともに(スマホアプリ["Ehteraz app"と呼ばれるもの]インストール義務が課された), 被接種者は未接種者よりも社交的な接触率("social contact rate")が高くなっていた可能性があり、また、マスク装着といった安全対策へ従わなかった可能性もある。

ファイザー製ワクチンと比べて モデルナ製ワクチンでは2回目接種後にデルタ株感染への高い有効性が推計され、 モデルナ製ワクチンがより強力な免疫と予防効果を誘導したとする研究にも一致する。

youtu.be

関連記事

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次
閉じる